35週目で妊娠後期も中盤、あと4週で出産を迎える時期に入りました。妊娠初期からこれまで、お母さんの身体は妊娠を維持できるようにコントロールされていましたが、これからは出産に向けた準備のために、これまでとは違う変化を少しずつしていく時期でもあります。
今回は35週目に起こってくるお母さんや赤ちゃんの変化などをまとめましたのでご一緒に見ていきましょう。
妊娠35週目まとめ
妊娠35週目に見られる変化は次のとおりです。
症状 | 腰痛増強、お腹が張りやすい、尿漏れ、むくみ、血圧の上昇 →その他の多いケース 骨盤やあばら骨に痛みを感じやすい めまい・ふらつきが出やすい 私たちも体験(骨盤などが痛い、めまいなど) |
つわり | 後期つわりのような症状を感じる方も →その他の多いケース 私たちも体験(つわりに似た症状) |
お腹の大きさ | ますます大きくせり出し、重たくなります 子宮の高さはピークでみぞおち当たり 35週:子宮底長28~32cmくらい →その他の多いケース 日常生活がしんどくなる方も |
赤ちゃんの大きさ | 頭臀長(CRL)45~46cm 大横径(BPD)80~91mm 大腿骨長(FL)58~68mm 腹部周囲長(AC)20~31mm 赤ちゃんの成長:胃腸が機能し始める、各器官が完成 肺は外に出ても呼吸ができるようになる →その他の多いケース 私たちも体験(赤ちゃんの大きさ) |
腹痛 | 少し動いてもお腹が張りやすくなります お腹の強い張り、激しい痛みに出血(微量でも)があるときは受診を →その他の多いケース 本陣痛:陣痛感覚と持続時間の目安 痛みが3時間以上続く、動けないほどの痛み⇒お産が始まった可能性も |
腰痛 | 姿勢などに注意して腰痛が酷くならないようにしましょう →その他の多いケース 私たちも体験(腰痛) |
下痢 | もうすぐ臨月、下痢になりやすい方も →その他の多いケース 臨月、快便&下痢になる理由 私たちも体験(下痢) |
出血 | 微量出血、初めての出血=「おしるし」とは限りません、すぐ受診を→その他の多いケース 私たちも体験(出血) |
茶おり | 茶おりも、受診しましょう。おりものの変化には注意を。 →その他の多いケース 私たちも体験(茶おり) |
エコー | 感情を表情で表せる頃、そんな様子を見れるかも →その他の多いケース 私たちも体験(赤ちゃんの様子) |
心拍 | 心拍数は120~160bpmくらい →その他の多いケース 私たちも体験(心拍) |
胎動 | 胎動が大人しくなる、相変わらずキックもパンチも強いなど様々 胎動が24時間感じられないときはすぐ受診しましょう。 →その他の多いケース 私たちも体験(胎動) |
体重 | 赤ちゃんの体重は、1900g~2700gくらい ママの体重は、普通体型の人で妊娠前+7~9kgを目安に 引き続き栄養バランスの良い食事と摂取量に注意を |
出産まで | 出産まで、あと4週です →その他の多いケース 35週で逆子の場合、帝王切開になる場合も 遠方里帰り、この週あたりで移動しましょう |
この週に良くある傾向。意識したいコト
35週目になると、いつ外へ出ても良いように成熟して2500gを超える赤ちゃんも多くなります。お母さんの子宮底長も32.0cmくらい、だいぶ大きくなって動きづらい時期ですね。
赤ちゃんが元気に成長しているからこそ子宮が大きくなるものの、お母さんにとっては、肺や心臓、その他の臓器などを圧迫されて、お腹の張りやつわりのような吐き気、息切れをおこしやすくなってしまいます。
この頃から、お母さんの体は少しずつ出産に向けたホルモンバランスに代わってくるため、腰痛・骨盤痛や便秘が改善、おりものの増量などの体調の変化を感じる方も出てくることでしょう。同時に前駆陣痛も出やすくなります。お腹の張り方や痛み方、出血などには十分注意していてください。
出産のため産休に入った方は、生活リズムが全く変わるので、「つい頑張りすぎ、ついダラケてしまう」には注意して過ごしましょう。
また、予定日まであと4週間ほどですが、体調の良いときに入院・退院の必要品をそれぞれ分けて準備しておきましょう。新生児用品も足りないものはないか今のうちにチェックしておきましょう。
骨盤やあばら骨に痛みを感じやすい
妊娠初期からリラキシンというホルモンの影響で骨盤が緩んできますが、妊娠後期になるとリラキシンの分泌量がさらに増加して恥骨結合部・骨盤もさらに緩むようになり分娩するための準備が整ってきます。
これは出産をするために重要なことなのですが、骨盤の痛みが出現したり増強する原因にもなります。また、骨盤は上半身の体重をすべて支えているため、緩みが生じることで腰痛を引き起こしやすくなります。
このような痛みに悩まされるかたは、骨盤ベルトなどを使用することで骨盤や腰痛が改善する人もいるようですので試してみてはどうでしょうか。
そして、子宮が大きくなると、肺や心臓を圧迫するのはもちろんですが、肋骨を押し広げるようにして圧迫がかかるため、肋骨に痛みが出てくることもあります。人によっては胎動の影響で、肋骨にヒビが入ることもあるようです。
めまい・ふらつきが出やすい
妊娠27週目にも解説をしていますが、妊娠中には血液量が妊娠前と比べ1.5倍ほど増加します。これは、まず赤ちゃんに栄養を送って成長させるため、そして妊娠後期に血液量がピークになるのは、出産の際の出血に備えるためです。
ところが、血液全体量は増えるものの、血液を構成している成分は血漿成分が増えるものの、赤血球などはほとんど増加しません。つまり、血液全中の赤血球の密度は減少するので貧血によりめまいやふらつきを起こしやすいのです。
そのため、貧血を改善できるように鉄剤の服用や注射などが必要となることもあります。めまいやふらつきのきつい方は、医師に相談してみましょう。
私たちも体験(骨盤・あばら骨の痛み、めまいなど)
骨盤の痛み
○骨盤の痛みは時々気になっていましたが、どんどんひどくなってきたので病院に相談しました。ホルモンバランスの変化によるものだから心配することはないと言われました。
○骨盤の痛みが強くなってきたので骨盤ベルトを使用したら少しは落ち着きました。
あばらの痛み
○肋骨が痛くて受診の時に相談しました。子宮が大きくなり肋骨も圧迫するのと、女性ホルモンの影響で骨盤や肋骨がゆるんでズレがでて痛みが出ることがあるそうです。
○臨月に左の肋骨の骨にヒビが入りました。骨が少し弱くなるみたいです。
めまいなど
○これまで貧血とは無縁だったのに今になって一瞬のめまい・ボーっとする感じが出ました。
○妊娠初期は異常がなかったのに後期になって貧血になりめまいがでました。鉄剤の注射で通院しました。
私たちも体験(つわりに似た症状)
○臨月に入ると赤ちゃんが大きくなり、胃が押されて吐き気がしていました。
○お腹の中が赤ちゃんでいっぱいで、食欲もありませんでしたし、胎動が激しいと吐くこともありました。
○臨月に吐き気が来るとは思っていなかったのですが、酷い時は胃酸の逆流が鼻から出ることもあり精神的にまいりそうになりました。
日常生活がしんどくなる方も
子宮が大きくなるため胃や膀胱を圧迫されて、ムカムカや頻尿などに悩まされたり、いつでも大きくて重いものを抱えて生活をしているようなものなので、動きにくさから日常生活もしんどくなったと感じている方は多いのではないでしょうか。
また、胎動は嬉しいながらも、夜中に胎動で起こされたりして睡眠不足からも普段から疲れを感じやすくなる方もいらっしゃるでしょう。
休めるときに休養を取ることが大切なのですが、同時に運動不足になることで体力も著しく低下するのはお産が大変になってしまいます。
お産という大仕事を乗り切るために、「体力の向上」とまではいかなくても、せめて「体力の維持」はしておきたいもの。無理をして運動をする必要は必要はありませんが、体力を落とさないように意識して「動く」ようにはしましょう。
今が一番しんどい時期ですが、運動・休息・栄養のバランスがとくに重要な時期でもありますから、お母さん自身と赤ちゃんのために、ここはもうひと踏ん張りしていきましょう。
私たちも体験(赤ちゃんの大きさ)
○35週0日目。元気な男の子です。2658gで大きめです。
○前回の1880gから2390gと急成長していました。
○35週1日目。2110gです。ようやく2000gを超えてくれました。
本陣痛:陣痛感覚と持続時間の目安
陣痛が来たらすぐに生まれてくる、というものでもありません。ですが、どんな様子で陣痛からお産になるのかイメージングしておくことは、いざ本番というときに役立ちます。
まず、陣痛には前駆陣痛と本陣痛の2種類があり、一般的には初めに前駆陣痛がきてその後に本陣痛がくるのですが、それぞれの陣痛がどのようなものなのかを知ることで、出産までどのくらいなのかを把握する目安にもなります。
前駆時痛は「本陣痛の予行練習のようなもの」と表現されることもあります。痛みの程度や間隔は規則的ではなく、姿勢によっては痛みが軽くなることもあるようです。
前駆陣痛から徐々に本陣痛へと移行していきます。本陣痛は、痛み初めの当初、痛みや間隔が規則的であることに気付きにくいものです。
そこで、陣痛が始まった時間と終わった時間を記録していくことで規則的に陣痛が来ていることに気付くことができるでしょう。陣痛が30分程度の間隔で来ていると感じたらメモを始めましょう。
この段階で病院へ連絡すると、一般的に陣痛の間隔が10分になってから病院へ向かうように指示されることが多いようです。病院までの距離や時間にもそれぞれ違いがあることですので、予め病院までは何分で行かれるかなどは調べておきましょう。
痛みが3時間以上続く、動けないほどの痛み⇒お産が始まった可能性も
陣痛の初期は下痢の痛みに似ていると表現されることが多く、痛みも強くはないため、陣痛が来ていることに気付かないことがあります。
陣痛の間隔などは前述(本陣痛:陣痛感覚と持続時間の目安の項目を参照してください)のとおりですが、前駆陣痛が続く時間は個人差があり、本陣痛が始まっているか気づきにくいこともあります。
3時間以上痛みが断続的に続く場合や、動けないほどの痛みがある場合は本陣痛が始まっている可能性もあります。病院へ連絡をして、指示を仰ぐようにしましょう。
また、一般に子宮口が開いて分娩中に破水するのですが、なかには陣痛前に破水してしまうケースもあります。こんな時は、気をしっかり持って病院へ連絡、もしくは救急車を呼びます。
なかには破水の量が少量ずつだと「おりもの」と勘違いして対処が遅れてしまうこともあります。これからはいつ出産を迎えてもおかしくない時期なので、安易に自己判断せずに「少しの変化でもすぐに病院に連絡+相談」することを意識しておきましょう。
私たちも体験(腰痛)
○これまでも腰痛はありましたが痛みが強くなってきています。骨盤がさらにゆるんでくるので痛みも出やすいそうです。
○腰痛に悩まされています。夫にマッサージしてもらってどうにかしのいでいますが、なかなか改善しません。
○一時的に腰痛がひどくなり心配になって病院に電話しましたが、強い腰痛も続かないのであれば様子を見て良いと言われました。
臨月、快便&下痢になる理由
臨月になると、これまで便秘だったのが急に快便になったり下痢になることがありますが、これは分娩に向けてプロゲステロンの分泌が減少してくることに影響されています。
このプロゲステロンには、腸の働きを抑制するという働きがあります。妊娠初期から現在まではプロゲステロンの分泌量が増加していたので便秘になりやすく、便秘で溜ったものを出そうとするため便秘と下痢を繰り返しやすかったのです。
妊娠後期に入って、プロゲステロンの分泌量が減少してきたため、腸の動きがなり便秘だった人は快便、快便になりすぎて下痢になる、もともと快便だった人は下痢になることがあります。
私たちも体験(下痢)
○便秘がひどくて下剤で調整していましたが効果はほとんど感じませんでした。しかし臨月あたりから下痢をするようになり、下剤を止めました。
○臨月を少し過ぎてから快便だったり下痢だったりになりました。自律神経が亢進しているからだと説明を受けました。
○もともと便秘体質だったためか、妊娠中は時々柔らかいお通じがありましたが、ずっと満足にお通じが順調に続いた記憶がありません。
私たちも体験(出血)
○お腹全体の痛みや張りがあり、ときどき出血を繰り返していました。
○汗が出るくらいの腹痛が15分ありましたが治まったので様子をみていました。しかし翌朝に大量の出血があり病院を受診。そのまま出産になりました。
○朝起きたら出血がありすぐに病院を受診。そのまま安静入院となりましたが、入院中にも2回出血がありました。
私たちも体験(茶おり)
○茶色のおりものが出て病院に電話をしましたが、陣痛らしきものや腹痛が無いことを伝えると様子を見て良いと言われました。
○粘液性が強くなり、下着にパリパリにくっつくような茶おりに変化しました。
○臨月で毎週健診を受けていましたが、そのあとには茶おりが出ていました。私の場合の茶おりはおしるしとは違うそうです。
私たちも体験(赤ちゃんの様子)
○最近は指を口に近づけていたり指しゃぶりしていたりしています。お腹の中でも練習しているそうです。
○いつも無表情なのに笑ってて、笑った顔が夫にそっくりでした。
○先生に「優しい表情をしていますね」と言われました。
私たちも体験(心拍)
○心拍が120くらいで「心拍が少し弱いかな」と言われました。他に異常はないと言われましたが不安です。
○おしるしがあり病院を受診してNSTを受けました。お腹が張ると心拍は120以下になりました。医師からは「心配なので二日後に再検査を」と言われました。二回目も心拍が少なかったらどうなるのでしょうか。
私たちも体験(胎動)
○お腹の形が変わるのが見ているだけでわかるほど、グイグイ押されることがあります。
○とくに夜中、寝ている時に元気に動くので必ず途中で目が覚めます。
○いろんな場所を押されている感じでしたが最近は同じ場所ばかり押されます。赤ちゃんの位置がある程度決まってくるそうです。
○日中いつも体動があるような時に体動がないと不安になります。でもそのあと動いてくれるので安心できています。
35週で逆子の場合、帝王切開になる場合も
妊娠後期でも逆子の場合は自然に戻ることを望んで逆子体操を医師の指導で受けている方はいらっしゃいます。ですが、この週あたりに帝王切開の説明を受けることもあります。
理由は、胎児が大きくなっているため、子宮内のスペースは自然に元に戻るには狭すぎることが一つの要因です。同時に赤ちゃんが自力で胎位を治す際へその緒が首に絡みやすくなったり、逆子の自然分娩では様々なリスクがともなうためです。
逆子の自然分娩に見られる具体的なリスクは
1. 足から生まれてくるので産道の広がり方が不十分になりやすい。
2. 臍帯を出しながら頭が出てくるので、産道と頭部に臍帯が挟まれて酸素などの供給が不足しやすい
3. 頭から生まれる場合と異なり破水は出産が終了する前に羊水が流れ出てしまう
このような状況だと、お産に時間がかかるため母子ともに危険な状態が起こりやすくなります。
このようなリスクを避ける為に、医師から37週から38週目で帝王切開の話がされます。この週あたりというのは、赤ちゃんの成長が充分で、いつ生まれてきてもとくに問題がないと考えられているためなのだそうです。
医師から帝王切開のお話があったら、ご夫婦で「母体に無理のない・赤ちゃんに低リスクな出産方法」についてよく相談されて選択をするようにしてくださいね。
遠方里帰り、この週あたりで移動しましょう
里帰り出産をする人は32週から遅くとも35週目のこの週あたりで移動するようにしましょう。もちろん体調や状況にもよりますが、週数が経過すればするほど、里帰りの道中で産気づいてしまう可能性も高くなってしまいます。公共交通機関などでの出産になるのは避けたいですね。
里帰りの支度で忙しいかもしれませんが、今後の予定や、万一途中(公共交通機関の中も含め)産気づいた時にはどう対応するのかなども、改めて確認しておきたいですね。
里帰りをしてゆっくりする暇もなく、すぐに出産となる可能性もあります。とくに遠方の里帰りであれば、できるだけ余裕を持って行動されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ずいぶん赤ちゃんも成長して出産が楽しみな反面、出産に対する不安感もより大きくなっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不安を感じないようにしようとするのは無理な話、ですが「陣痛がきたらどうするか」などの今後体験するであろうことを頭の中でシュミレーションしたり、家族と話して対応を確認し合ったり、疑問は助産師や主治医にきちんと質問して解決することで、不安をちょっとでも軽くしていかれます。
体調が落ち着いている時に少しずつでもいいので、家族の協力を得ながら出産の準備を具体的に行っていきましょう。